生きていると嬉しいこと楽しいことだけでなく、辛いことや悲しいことなどのできれば起きてほしくないような嫌なことも起こります。起きてくる出来事をすべて把握することなんてできませんよね。
そして数え切れないほどの情報も毎日怒涛のように私たちへとなだれ込み、それに比例して感情も揺さぶられ続けています。
人間には感情があるのだから、悲しいことが起きれば悲しくなるし大切にしているものを傷付けられたら怒りが湧きます。
望みが叶えばものすごくうれしくなったり好きなことをしていれば楽しいと感じます。
これはごくごく自然なこと。
だけど何か起こるたびにすぐに怒ったり落ち込んだり、次の瞬間にはパア~ッと気持ちが明るくなりそしてまた沈んだり、いわゆる感情ジェットコースターに振り回されて疲れ果ててしまうことありませんか?
そして同じことで悩み同じような反応をしてしまい、そのことで自己否定をしてしまう。
今回はどうやったら感情に振り回されずに、安定した心と自分本来の軽やかさを取り戻せるのかをお話ししていきますね。
出来事と感情はイコールではない
恋人から傷つくことを言われた…すごく悲しいよ。
お店の人がすっごく感じ悪かった!最悪!
想定外の出費が重なって大変!どうしよう…
失敗して落ち込んだり、人間関係がしんどかったり、突然事故に巻き込まれたり、悪口を言われて悲しんだり…
どんなに気を付けていたとしても嫌な気分になるような出来事は私たちに降りかかってきます。
そんな時に普段、どんな気持ちを選んでいるでしょうか?
そう、気持ちは実は気持ちは自分で選んでいるんです。
まずはネガティブな気持ちに注目してみます。
ネガティブな感情も自分で選んでいる
悲しいことが起きたから悲しんだ?
腹が立って当然なことが起きたから怒った?
不安になって当然なことを言われたから不安になった?
そう思って当たり前のように不快になることを毎回選んでいる人はとても多いと思います。
そのような時は、知らず知らずのうちに心の主導権を他者へと渡してしまっているのです。
心の主導権を自分以外のものへと渡してしまっている時、感情の発動装置はオート運転の状態となっています。
そのような人の中ではこのような方程式が成り立っています。
ネガティブな出来事が起きた=ネガティブな感情になる
だけど本当は、出来事と感情の間にはスペースが空いています。
とても分かりにくくて、意識しないと気づけないようなわずかなスペース。
この出来事と感情発生のわずかな間で、人は好きな感情を選ぶことができます。
このスペースに気づくことができたら、先程のような方程式は成り立たないということがわかります。
それどころか新しくこんな方程式を適用させることができます。
ネガティブな出来事が起きた=ポジティブな感情にもなれる
同じ出来事を経験したとしても、人によってその印象が全く違っていることってありますよね。
例えば、大事な予定のある日に限って体調が悪かったとき。
一人は、「なんで今日に限って⁉今日のためにいろいろ準備して楽しみにしていたのに!これじゃあ楽しめないどころか、きっと体が辛くなって明日も最悪な一日になる…」
もう一人は、「体キツイな…でもこんな最悪な状態でも楽しむことができたら、今後はどんな時でも大丈夫って確信が得られるチャンスかもしれない。」
同じ状況でも気持ちにこれだけの違いが出てきます。
前者は、これ以上体調を悪くさせたくないと思いっきり楽しむことをしないでしょうし、こんな日に限ってと嘆いています。
そして今後大事な日に体調や都合が悪くなることを恐れるようになるでしょう。
後者は、不運を嘆くことなく今をできる範囲で楽しむことに集中できて実際に体調が改善していくかもしれませんし、体調への対処の仕方や相手への伝え方を学ぶことができます。
それによって自信も身に着けることができます。
そして今後大事な日に体調や都合が悪くなることを恐れないようになるでしょう。
実はこれは私の実体験です。
両者の違いは単に考え方の違いだけではありません。
後者のように期待とは違うネガティブな出来事が起こったときにどう捉えるかで、驚くほど結果に違いが出てきます。
どう捉えるのか=どの感情を選ぶのか
この時は実際に体調も良くなっていきました。
私は持病があるため、いつもならこんなに動き回ったら疲れ果ててダウンしそうなのに逆に体調が良くなり、かつ思う存分楽しむことができました。
そしてこのような経験を重ねていき、今の私でも越えることができるんだ!本当は私はとても強いんだ!という自信と強さを身に着けていきました。
好きで悲しみや怒りや絶望を選んでいるのだと言うと受け入れられない人も多いかもしれません。
ですがうまく感情を選ぶことができるようになると、必ずしも出来事と感情を結びつけなくてもいい、嫌な出来事が起きても動揺しなくてもいいということに気づけることと思います。
慣れ親しんだネガティブな感情を常用していませんか?
できごと発生から感情発生までのメカニズム
好きな感情を選んでいい
どんな感情を選ぶかはその人の自由。
悲しんでもいいし楽しんでもいい。
でももし今までと違うポジティブな気持ちになりたいと思うのであれば、意識的にポジティブな感情を選んでみましょう。
いや、ポジティブな気持ちを選びたくても選べないよ!
それができたら苦労しない!
まぁそうなりますよね…
じゃあどうやったら今までと違うポジティブな感情を選べるようになるのか。
どのようなメカニズムでポジティブやネガティブな感情が発生しているのか、【できごと発生から感情発生までのメカニズム】を簡単に図にしてみましたのでまずはそちらをご覧ください。
小さければ図をクリックやタップして大きくしてみてくださいね。
この図を見ながら、『どうやったら嫌な出来事に振り回されずに自分の心の主導権を取り戻せるのか』を次項でステップ形式で説明していきたいと思います。
このステップは、いつも同じようなことが起きて、同じような反応をしているという繰り返すパターンから抜け出したいというときに効果的なステップとなっています。
安定した心になるためのステップ
まずは自分の心は自分のものであり、自分の気持ちは選ぶことができると知ることから。
そして気持ちは『出来事と感情発生の間のスペース』で選べると知ることから。
知らないことには使うことができません。
知らないと使いようがないと聞くと、変な例えですが国の助成金やサポートシステムのようだなーと感じます。
これって誰かが教えてくれたり自分で調べたりしない限り、なかなか知る機会がないんですよね。自分から尋ねていかないと役所でも教えてくれないことがよくあったので、なんか似てるなぁと思いました笑
こんな制度あったの⁉早く教えてよ~って。
でも一度知ってしまえばその制度を意識的に利用することができますよね。
「出来事=感情ではない」ということを知って受け入れ、その間にあるスペースを使って出来事発生の後にオートでネガティブな感情が発生してしまうことに歯止めをかけることができます。
ということは無意識にこのスペースで、好きで悲しみや怒りを選んでいたということになります。
今現在とても辛い経験をしている人にとっては残酷な真実かもしれませんが、このことに気づけば今後意識的に感じ方を変えることができ、何が起こっても動じない強さを手に入れることができるということです。
嫌な出来事が起きて嫌な気分になることが当たり前のことだと思わないことがとっても大切です!
「なぜ私はこんなに苦しく感じているのか?」と自分に問いかけ、その理由を探っていきます。繰り返す感情の根底には必ず理由が隠されています。
- なぜ私はイラついたの?
- なぜ私は不安に感じたの?
- なぜ私はモヤモヤしているの?
- なぜ私は嫌な気分になってるの?
など。
例を出して説明しますね。
人から気になっていた外見のコンプレックスを指摘されて怒りが湧いたとします。
「人が気にしていることをわざわざ口に出すなんてどんな神経してるの⁉平気で人を傷つけるなんて!この人性格悪すぎ、絶対仲良くなりたくない。」
その時の自問自答の流れの例です。
- 私はなぜ怒ったの?
→コンプレックスを指摘されたから - なぜコンプレックスを指摘されて怒ったの?
→その部分を気にしているから。 - なぜ気にしているの?
→人と比べてきれいじゃないから。 - なぜきれいじゃないと思うの?
→以前人から変だと言われてからかわれたことがある。 - なぜその人の言葉通り、きれいじゃない・変だと思うの?
→女優やモデルと比べて劣ってる。テレビやSNSでも私と同じコンプレックスを解消するためのメイクや整形をしている人がたくさんいる。 - なぜ他の人と同じようにコンプレックスだと思っている部分を隠そうとするの?
→だってきれいじゃないと人から好かれない。嫌われるし馬鹿にされる。 - なぜ人から好かれないといけないの?人から認められないといけないの?
→人から好かれないと一人になるし悲しいし寂しい。人から好かれてると楽しくて幸せでしょ。
…
…
これは一例ですが、このような感じで質問を重ねていきます。
この例でいえば「人から認められない・受け入れられないことが怖い。人から認められないと自分は幸せにはなれないと信じている」ということがわかりますね。
STEP2で出た答えをどんどん掘り下げていくことで、自分が一体何を真実だと信じているのかがわかりました。思い込みや観念とも言い換えできます。
この観念は、至極当然だと思われている一般的な常識かもしれません。
親からの教育で身に付いたものかもしれません。
過去の経験から学んだことだったり、友人や社会やメディアから取り入れた情報かもしれません。
美しさ、性格、人間関係、お金、階級、学歴…とにかくたくさんの情報が私たちに入ってきて、絶対だと思い込まされていることが多くあります。
- 美しくないと人から好かれない
- 人から好かれないと生きていけない
- みんなと同じでなければならない
- 贅沢をしてはいけない
- お金は減っていくものだから使ってはいけない
- 有名な会社に入らなければいけない
- 仲良くしなければいけない
- 仕事は続けなければならない
- 結婚しなければいけない
見てわかるように、観念には「〇〇しなければならない」という義務、「△△してはいけない」という禁止が多くあります。
これらは私たちから自由を奪っているものです。
ではなぜその思い込みは自分の中にあるのでしょうか?
掘り下げてみるとその思い込みの根底には怖れが潜んでいることがほとんどだと思います。
- 嫌われたくない=嫌われると一人になる=生きていけない=怖い
- お金を貯めないといけない=何かあった時に困るから=生きていけない=死ぬの怖い
- 結婚しなければいけない=適齢期になっても未婚だと変に思われる=人と違っていると良好な人間関係が気づけない=一人になる、攻撃される=生きていけない=怖い
これらのように、掘り下げていくと生物としての恐怖が関係しているのではないかと思います。
この生物としての怖れはある程度仕方のないことなので、自分を責める必要はありません。
その怖れをうまい具合にメディアや世間などに刺激されると、ネガティブな観念が出来上がってしまうんですね。
ネガティブな観念とは、自分を自由を奪う鎖のようなものです。
でも後から出来上がったものは、新たに上書きすることができるから大丈夫♪
同じことが起きても人によって感じ方が違うのは、この根底にある思い込みが人によって違うからです。
元の性格もありますが、その考え方の傾向もネガティブな思い込みからポジティブな思い込みに上書きすることでだいぶ楽になってくると思います。
STEP3で思い込みが見つかったあと、自分にこう質問してみましょう。
「それって本当?」
この時に「だってみんな言ってるもん、常識だよ」などという答えは意味を成しません。
この『世間が言っていることが唯一正しいものだ』という考えから抜け出さない限り、なかなか自由になることはできません。
そういうときはその答えにこそ「それって本当?」と自分に問いかけます。
どうして世間の言うことだけが正しくて、自分の感じていることが間違っているの?
じゃあ何のために生きているの?
自分の感覚や考えを尊重して生きていくことよりも世間の人々と同じタイプの人間になって生きていくことの方に価値があるとしたら、自分が自分として個性を持って生まれてきた意味が全くないことになります。
そうなると、ただ社会を機能させるために、上層部の人たちをより生きやすくするために生まれてきたようなものです。
自分が当たり前だと思って受け入れてきたことを疑うことは、自分が自立した一人の人間として新たに人生をスタートするようなものです。
世間の基準から自由になる感覚がチラッとでも感じられたら、目の前が少し明るくなる感覚を感じられたら。
そのときはきっとすでに新しいあなたが生まれています。
このようにして植え付けてしまったネガティブな観念を一つ一つ外していきます。
ネガティブな観念を外していく目的としては、ネガティブな観念を元にネガティブな感情が発生してくるからです。
その観念を少しでも外すことで、できごと発生からオートでネガティブな感情へと繋がることを減らすことができます。
その観念は誰のもの?
本当に自分のもの?
一旦立ち止まることができたら、「自分はどんな気持ちを味わいたいのか」を意識します。
STEP1で「出来事=感情ではない」と知りました。
そして感情は選べることも知りました。
そのうえで、いつもどんな気持ちを感じていたい?と自分に質問してみます。
私であれば「安心・リラックス・愛・ワクワク」などです。
どんな時でも喜びを見出して生きていきたいです。
- 幸せだなぁ
- ありがたいなぁ
- 楽しい!
- 心がポカポカする
- 面白いな
おそらくほとんどの人がこのような心地よさを感じたいのではないのかなと思います。
そしてそれは可能です。
なんてったって出来事に関係なく感情は選べるんですからね。
ここで明確に、自分は悲しい感情より楽しい感情の方が好きだ。楽しい感情や喜びを感じたいのだと意識します。
意思決定ですね。
自分は何を感じながら生きていきたいのか、どんな人生を歩んでいきたいのかを明確に把握して決定することで、これから先の人生の進路が決まります。
人生を船に例えると、船の進路を決めないと予想外の場所へと辿り着いてしまって「私はこんなところに来たかったわけではないのに!」とあるとき愕然としてしまうかもしれませんよね。
本当は毎日どんな気持ちで生きていきたい?
どんな表情をしながら生きていきたい?
選ぶのも決めるのも自分です。
大切なこと
この記事の中で何度も『知る』というフレーズが登場したと思います。
それだけ知るということが大切なことだからです。
周囲から取り入れてきた自分にとってあまり喜ばしくない観念(思い込み)も、そのことを知ったから取り入れることができました。
まず知るだけでも大丈夫なんです。
私たちが普段認識できない潜在意識は、想像をはるかに超えた可能性を秘めています。
その潜在意識にはこれまで「社会の常識や世間の認識が絶対である」「親の価値観は正しい」「ネガティブな出来事が起こったらネガティブになって当然」などというデータがあったかもしれません。
そこに「自分の心の主導権は自分にある」「自分の気持ちは自分で決めることができる」と上書きしていくんです。
何度もそう思っているとだんだんと意識上でも自分の気持ちは自分で決めると思えるようになってきます。
自分は自分のもの!自分の心も決めていい!
まとめ
現状を変えたいと思っていても、今までと同じことをしていては永遠に同じことが繰り返されます。使う感情も同じですね。
同じような状況で同じ反応ばかりしていては、たとえ誰かが自分の気持ちを持ち上げてくれたとしても一時的でまた同じ反応を繰り返してしまいます。
だからと言ってネガティブになるまいと思い込むだけでは感情を抑え込んでいるだけになってしまい、いつか爆発してしまいます。
そうならないために、なぜ同じ反応を繰り返してしまうのかを解明し、同じ反応してしまうことを繰り返さないためのステップの紹介でした。
自分の心を他者や周りの出来事に明け渡すことなく、自分の心を自分で決定していきましょう♪
ポジティブな感情が良い感情だと言っているわけではありません。
ネガティブもポジティブも等しく大切な感情であり、大切な経験です。
なんだか自分の感情に振り回されて疲れたな、出来事や自分に振り回されずに楽しくいきたいという人向けの記事となっています。